【安売りは正義か? ウォルマートの従業員に思う】
消費者の便益を考えるうえで際限のないPダウンは果たして本当に正しいのでしょうか?
需要と供給がバランスすれば、マーケットの価格は適正なP(価格)に収斂していくはずです
ですが円安で原材料は値上がりして久しいのにもかかわらず、デフレ圧力は依然と猛威をふるっています
それはVが上昇しているにもかかわらず、Qが無くなることを恐れるあまり、価格転嫁どころか、より一層のPダウンをはかろうとしているからです
際限のない泥沼です
そこには企業努力だけでは吸収出来ない負の連鎖が潜んでいます
たしかに談合やモノポリー(独占)は消費者には不利益をもたらすことのほうが多い
顕著な例は官公庁や電力・ガスなどの公共性の高い事業等でしょう
不当とまではいきませんが、FCのコストプラス主義で計算されるPは市場価格からはかけ離れた設定になっていると言ってもよいでしょう
LCCが台頭する前の航空運賃もそうです
このことは企業努力を排除する業界には将来はないことを物語っています
いつか必ず外部からのイノベーターによる参入があるからです
MGではそれがコールPに反映されています
提示価格と競争価格(コールP)との差額が、つまり青チップの枚数が企業努力の証左なのです
余談ですが、金沢MGでは(ローカルルールですが)平均Pが30円以上だと特損200円が課せられます
そうすることで参加企業に競争の発生(企業努力)と消費者の便益の両立を促しています
ならば最後はどこよりも安く20円の提示価格で売り続けないといけないのでしょうか?
答は否です
消費者に十分な便益をもたらしている商品でも、そのPは26円~28円くらいでないとそれを提供する企業が持ちません(永続的に供給できない)
会社やお店が無くなって、困るのはそこを利用する地域の人達です
供給が需要を上回っている、モノが溢れている時代では顧客にとってのベネフィットをうまく伝えないとモノは売れません
しかし「伝える」「わかってもらえる」ことは簡単なようで凄く難しいことです
ほとんどの店はそれが出来ていない、出来ないから“安売り”に頼るしかないのです
(青チップ0枚の状態です)
悲しいことですが、PダウンをしてQを稼ぐことしか考えつかないのです
それはどういう結果をもたらすのでしょう
1. 人件費にしわ寄せがいきます F1カットやサービス残業の常態化
2. 消費者にもしわ寄せがいきます Vダウンのために怪しい食材や添加物の多用
3. 環境にも負荷がかかります 大量生産と大量消費・大量廃棄など
現在、リアル店舗で行われている競争は19円から下の札を出して競争が行われている状態です
MGならそんな(安売りしてくる)相手の在庫が切れるのを待てば良いのですが、現実のディスカウンターは在庫も無尽蔵に持っています
結論は“極端に安すぎるPや、行き過ぎた競争は誰も幸せにしない”ということです
繰り返しますが、消費者にとってPが低ければ低いほどそれは理に適っているという考えは大きな幻想、誤りです
我々(お店や企業)は消費者にとって「敵」でも「競合相手」でもないからです
「勇気を出して、妥当な(少しだけ高い)Pをコールしよう!」
何年か前に出張で訪れたカリフォルニアのウォルマートで見た、光沢を失った目をして働く従業員達が忘れられません
彼女たちは少なくともMGで云うワーカーの姿ではありませんでした
〈マッシモのMGノート〉